牧谿筆。
瀟湘八景図の内。
現存する牧谿筆と伝えられる『瀟湘八景図巻』には、大軸と小軸がある。
本図は小軸の断簡で他に「夜雨図」と「煙寺晩鐘図」の二図が現存する。
これら巻子本の切断された時期は足利義政の時分と考えられる。
『等伯画説』は「八幅ノ絵モ初ハ巻物ニシテ有タル是ヲ御切被成テ軸物ニアル也」「八幅ノ絵モ初巻物ニテ渡ル也、東山殿時皆能阿相阿ニ被御付切テ軸ノ物二成也」と記されている。
牧谿・玉澗といった筆者の別を問わず、八景画が日本人の心を魅惑した理由は、風景を単なる自然を超越し精神や生命の象徴とみたからであろう。
【伝来】尾張徳川家
【寸法】画面 縦29.4 横93.1
【所蔵】徳川黎明会