玉潤筆。
重文。
瀟湘八景図の内。
墨痕淋漓という形容にふさわしい撥剰とした筆致である。
牧谿画と比べてより逸格的であり、いわゆる機墨の手法による濃淡墨の処理は鮮やかで、月明と大気の織り成す微妙な光線感覚は見事である。
茶室では「月の絵」と呼ばれた。
賛は「四面平湖月満山 一阿螺髻鏡中看岳陽楼上聴長笛 訴尽崎嶇行路難洞庭秋月」。
玉潤には、瑩玉潤・孟玉澗・彬玉網・玉潤若芬の四者が知られ、いずれも南宋末を活躍期としているが、浙江金華にあった詩僧玉若芬を筆者とする説が有力である。
【伝来】足利家(東山御物)-天王寺屋道叱徳川家康 前田家
【寸法】全体―縦123.0 横95.0 画面縦33.3 横85.5