伝雪舟筆、横川景三賛。
典型的な雪舟の撥墨の手法による山水図である。
墨とは淡墨で画の要所を画き、その墨の乾かぬうちに濃墨を点する手法で、中国元代の詩僧玉潤の作品に学んだものであり、それによって山水の要諦を象徴的に表現することができた。
このような手法としては、明応四年(1495) 雪舟が弟子宗淵に与えた「破墨山水図」(東京国立博物館蔵六一九頁上)が有名である。
雪舟は日本の水墨画を、その師匠である中国画と対等あるいは優位に導こうとした人であり、この手法は、雪舟の弟子はもちろん親しい友人たちの間にも相承されている。
雪舟の画業と禅境の究極を示すものが凝墨である。
【寸法】全体―縦102.0 横30.3