尾形乾山筆。
重文。
秋草を三つの花篭に入れ、画中に構図する。
花の色彩と篭の墨色が対照的であり、乾山画中屈指の名作の一つである。
図上方に「花といへば千種ながらにあだならぬ色香にうつる野辺の露かな」の一首を自ら書いている。
乾山の文学趣味と、画技における装飾的感覚が結びついて生まれたのが、本図である。
江戸時代、光悦・宗達によって展開され、後世琳派と呼称された芸術は、乾山が兄光琳とともに完成したもので、最も日本的な美しさを示すものといえる。
落款は「京兆逸民紫翠深省画」、印は「霊海」。
【寸法】全体 縦163.5 横49.8 画面 縦110.3 横48.2
【所蔵】 松永記念館