牧谿筆。
一羽の叭々鳥の背に、孤高清爽の趣を感じさせる名画である。
陽まつかさ光に映える樹幹、漆黒の羽毛、松毬をともなう松葉は互いに調和し、明暗おのずから定まっている。
中世に舶載請来された中国画で、日本人の心に最も感動を与え、畏敬の念をもって鑑賞せられたのは牧谿画であろう。
そこには、墨の濃淡、筆勢の強弱というものが、いかに万物の情感を表象しうるかということと、筆法がいかに対象のもつ律動を把握しうるかということがわかる。
【付属物】 外箱書付松平不昧筆 外題―相阿弥筆
【伝来】 足利義政 徳川家康徳川家光 堀田家―若狭屋宗可 松平不昧
【寸法】全体―縦178.0 横56.0 画面 縦78.5 横39.0