徳川家康の命によって制作されたと伝えるこの台子道具一式は、『台徳院殿御実記』にもそれらしい記載がある。
慶長十二年(1607)三月、家康が相州中原で鷹狩りをしたとき、旅館に賊が入り金の茶器が盗まれ、当直の番士らが島流しになっている。
『駿府御分物帳』の「金銀之御道具」の部にも記され、家康から尾張藩祖徳川義直に譲られたことがわかる。
台子をはじめ風炉釜・水指・杓立・火箸・茶入・棗・天目台・天目茶碗・建水・蓋置に至るまで、華美を尽した純金の皆具が揃えられ、それぞれ見事な細工が施され、寸法といい姿といい豪奢このうえない大名道具である。
【伝来】徳川家康一徳川義直
【所蔵】徳川黎明会