遠州高取の瀟洒な建水である。鷹匠が用いる餌入れ(餌畚・餌袋などという)に形が似ているところからこの名があり、口縁は大きく外に広がっているので口とも呼ばれ、口造りは三方を窪ませた洲浜形をなしている。腰から下は、釉がまくれ上がったように土をみせている。これは白旗山窯にみる脛高の釉がけの手法である。高取焼は慶長の役で黒田長政に従い来朝した朝鮮の陶工八山(高取八蔵)が開窯したもので、のち八蔵は遠州から茶器の指導を受け、以来三十余年にわたり遠州好みの茶陶が白旗山窯において焼かれた。遠州七窯の名はここに発する。【寸法】高さ:10.2 口径:15.8【所蔵】香雪美術館