

黒田家伝来
略伝
従五位下伊予守永景、初名五郎右衛門吉勝、徳川旗本の士にして普請奉行を勤む。
茶は織部・遠州に学ぶ。号は正養庵宗舟、寛文五 (1665)年十一月八日、家綱将軍の所望にて片桐石州と共に黒書院で点茶式を行なった。
遠州没後、石州と共に当代の大宗匠とよばる。寛文十一年(1671)九月一日没、74歳。
茶杓
黒い光沢ある美竹、節下そぎ目にして半瓢形の虫喰を見る。櫂先力ある。
強くないが、腰高く、 織部型の繊細なるものである。
筒
両面取して、底部近く十分にしのぎ削りをしている。下部に窠穴がある。
付属物
包紙 黒田家のもの「延宝二年三ノ五 白露 伊与殿」とある。
箱 白木 書付 三井泰山筆「予州作 白露茶杓」
外箱 杉 白木 書付 小堀宗明筆(黒田家伝来たることを書く)
追記
黒田家の茶杓は全部包紙だけで箱のないものである。だから新しい補箱が持主によってそれぞれ作られている。三井泰山は俗に「永坂三井」 といわれ、目利きで知られている。
所載 茶杓三百選
寸法
茶杓
長サ19.4cm
幅0.6―1.0cm
厚サ0.25cm
筒
長サ20.9cm
径1.7ー2.3cm



