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交趾 狸

伝来
勢州 小津家

寸法
高サ6.0cm
胴径5.3cm
底径3.1cm
重サ57.5g

所蔵者
東京 畠山記念館形

 物香合番付前頭六位におかれているけれども、交趾香合中もっとも古作であると、言い伝えられているものである。
 最近、この香合は小堀遠州時代の注文品だという解説を試みた人もあるが、桃山末期あたりに渡来したことは間違いない。それは、押小路焼にこの種の写しが見られることによってもわかる。しかも古い箱書で、形を狸と記されているのを見るに及び、香合番付よりはるかに昔の名称であったようだ。
 元来、この香合は猿猴の姿である。日本の通俗的な猿を忌んで茶人が狸と名づけたという。近古の俗説とされてきたが、これは訂正を要することとなった。
 この香合と、同型のものを筆者は数多く見ているが、愛嬌のある道化者の風容が面白く、ふるくから興味をもって、真似て造られたものであろう。
 この香合は、番付にも色絵と特記しているが、色彩はことに鮮やかで、抜群の名品である。三彩おのおの美しく、完全無欠、とにかく愛すべき形物の花形として一般の茶人によろこばれるのも、これがためと考えられる。

交趾布袋
交趾布袋

交趾布袋
千家名物記に「交趾布袋香合高サ一寸八分三径一寸六分三所持者 家原自先 同鴻池道億」とあり数少なき物なり 参考品

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