



鶴子(つるのこ)
唐物 公爵 毛利元昭氏 蔵
名称
立った鶴の形をしているものを「鶴」と言い、その首が長いものを「鶴首」と言い、鶴の小さいものを「鶴の子」と言う。この茶入はすなわち唐物の「鶴の子」である。
寸法
高さ 約6.1cm (2寸)
胴径 約4.4cm (1寸4分5厘)
口径 約2.1cm (7分)
底径 約2.4cm (8分)
甑(こしき:首の部分)の高さ 約0.8cm (2分5厘)
肩幅 約0.5cm (1分8厘)
重量 約59.3g (15匁8分)
附属物
・蓋 1枚 象牙
・御物袋 白地金襴(裏地はかべちょろ、結び紐は紫色)
・袋 2つ
縞広東(裏地はかべちょろ、結び紐は萌黄色)
萌黄地笹蔓純子(裏地は海気、結び紐は紫色)
・袋箱 桐 白木
・挽家(ひきや:茶入を納める筒)欅(けやき)白木 蓋および胴に和歌が金粉の文字で書かれている
「鶴子」
(丸囲みで)鶴子
胴に書き付けられている和歌
「めづらしく 今日立ち初むる 鶴の子は 千代の睦月を 重ねるべきかな」
袋 縞繻子(裏地は海気、結び紐は御納戸色)
・内箱 桐 朱揉合塗(朱色のもみあい塗り)
蓋の裏の色紙に「唐物」の二文字の書付がある
・外箱 桐 白木
実見記(実際に見た記録)
大正10年(1921年)9月21日、東京市芝区高輪南町の毛利元昭公爵邸において実物を見た。
口は小さく折り返しが浅い。甑(こしき)の下が張り出し、肩はくっきりと突き出て、胴は少し張っている。腰から下は朱泥色の土で、底は板起し(平らな底)の中に細い縦筋が数多くあり、そしてその中央の土が少し欠け落ちている。
全体的に黒飴釉の中に所々柿金気色(柿色に金属光沢を帯びた色)が混じり、光沢が極めて美しく、甑の周りに少し青瑠璃色が表れている。内部は甑の周りに釉薬が掛かり、それより下は轆轤(ろくろ)の目が荒く巡り、底は平らである。土のきめが極めて細かく、手に取ると極めて重いのは、おそらく天目窯の作であろう。こぢんまりとしていて一点の傷もなく、茶入の中でも最も小さい形に属するものであり、それが「鶴の子」という名がある理由だろう。
【原文】
鶴子
唐物 公爵 毛利元昭氏藏
名稱
立鶴の形したるを鶴と云ひ、其首の長きを鶴首と云ひ、鶴の小さきを鶴の子と云ふ。此茶入は即ち唐物鶴の子なり。
寸法
高 貳寸
胴徑 壹寸四分五厘
口徑 七分
底徑 八分
甑高 貳分五厘
肩幅 壹分八厘
重量 拾五匁八分
附属物
一 蓋 一枚 象牙
一 御物袋 白地金襴 裹かべちよろ 緒つがり紫
一 袋 二ツ
縞廣東 裹かべちよろ 緒つがり萠黄
萠黄地笹蔓純子 裹かいき 緒つがり紫
一 袋箱 桐 白木
一 挽家 欅 白木 蓋及胴歌金粉字形
(丸囲みで)鶴子
胴に書付けたる歌
めつらしく今日立初る
鶴の子は千代のむ月を
重ねへき哉
袋 縞繻子 裹かいき 緒つがり御納戸
一 内箱 桐 朱揉合塗
蓋裏色紙に唐物の二字書付あり
一 外箱 桐 白木
實見記
大正十年九月二十一日、東京市芝區高輪南町毛利元昭公邸に於て實見す。
口小さく捻り返し淺く、甑下張り肩キツカリと衝き、胴少しく張る、腰以下朱泥色の土にて、底板起しの中に細き竪筋數々あり、而して其中央土少しく缺け落ちたり、總體黒飴釉の中に處々柿金氣色を交へ、光澤極めて麗しく、甑廻りに少しく青瑠璃色を現はす、内部甑廻り釉掛り、以下轆轤荒く繞り、底平面なり、土極めて細かく、手取極めて重きは、蓋し天目窯の作なるべし、チンマリとして一點の疵なく、茶入中最小形に屬する物にして鶴の子の名ある所以なるべし。



