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鶴田 純久の章 お話
黒茶碗 銘禿 006

高さ9.0cm 口径9.3~9.6cm 高台径5.3cm
 表千家 内箱の蓋表に「長次郎焼 黒茶碗 かぶろ」と山田宗偏が書き付け、裏に啼啄斎が「利休所持 禿 件翁(花押)」と利休所持であったことを記していますが、伝来は利休以後しばらく判然とせず、山田宗偏、坂本周斎(閑事庵宗信)と伝わったのち不審庵に入り、その後第一の重宝として伝えられました。口伝では、利休がいつも愛玩していたので禿と名付けられたといいます。『楽焼名物茶碗集』に「禿 長次郎黒 坂本周斎 利休所持にて夫より宗偏所持、そこぬけ」とあって、どうしたことか早くから、高台から底にかけてが抜けるという大疵があったらしいです。しかしながらなかなか力感のある、しかも素直な作行きの茶碗で、ことに高台は畳付が幅広く、三日月状だががっしりとしています。腰がくっきりと張り、□部にかけてすぼまりながら立ち上がり、胴は少し引き締まって、口は内に抱えています。広い見込には茶溜りがあり、内側にくびれをつけ、むらむらと褐色をおびた黒柚は、比較的滑らかに焼き上がっているが艶はありません。畳付には目跡が三つ残り、高台の気分は「まこも」と似ています。

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