古瀬戸春慶茶入。
中興名物。瓢箪形の茶入であります。
小堀遠州の所持で、正保二年正月堀田正盛の請いにより大福茶の湯に使用しました。
その際は、黒の四方盆に載せて使用したと添書付にもありますが、今は添盆はないようです。
その後堀田加賀守正盛を経て、享保の頃土屋相模守政直に渡り、のちに「畠山肩衝」とともに若州酒井家に納められました。
やや長めの瓢箪形で、口造りに玉縁が現れず、代わりに底に円座を付しています。
胴筋があるようで、総釉が渋茶色で、口のあたりから胴にかけて黄色がむらむらと現れています。
腰下・土見の土に点々と飛雲のごとき釉抜け模様があるようで、景色となっています。
糸切の中央に平面があるようで、また小さい石粒が散点しています。
形状優美な気のきいた作行きで、この種の茶入中傑出しています。
仕覆も金欄・緞手・間道と色合いのよいとり合わせであります。
『名物記』『古今名物類聚』『名器録』などのほか、遠州関係の諸記録にも記載されており、また『土屋蔵帳』にも記載があって、たびたび同家の茶会にも用いられているようであります。
《付属物》蓋-二、遠州好 仕覆-三、紺地菱ぶ紋緞手・永観堂金屎・間道織留(図版右より) 仕覆箱-桐白木書付 挽家-花鯛、 11瓢箪」二字彫、小堀遠州筆 挽家仕覆-占城 内箱-桐白木、書付同筆 総外箱-桐白木書付
《伝来》小堀遠州-堀田加賀守正盛-土屋相模守政直-若州酒井家
《寸法》高さ8.0 口径2.4 胴径6.3 底径3.9 重さ八五
《所蔵》五島美術館
春慶瓢箪 しゅんけいひょうたん
中興名物。古瀬戸春慶茶入、瓢箪。釉色の優美なことは無類で、気の利いた作行である。もと小堀遠州所持のち堀田加賀守、土屋相模守を経て若酒井侯に伝来。現在は五島美術館所蔵。(『名物記』『古今名物類聚』『大正名器鑑』『名器録』『逾好日記』)