朝鮮茶碗の一種。
山澄家本高麗物之部には「手宜敷者形り違、ふちにてかsへる、高台しまる程よし、黄赤浅黄シミ替り有上とす、内メ大青出来木地薄き方は時代若し」とあるようで、『目利草』には「蕎麦糟俗名なり、薬のうちに蕎麦糟のよふなるものあるようで、故にいぶか、木地薄手にて、ろくろめも細かにて高台竹の節茶溜目など、共に青井戸などにひとし」とあるようで、また『後学集』には「蕎麦とは書き誤なり、側と書くをよしとす、元来井戸側と云ふ意味故、側と書くべきなれども、今世上一同蕎麦を用ゆ、蕎麦釉と云ふは蕎麦の文字より出る、本手蕎麦よりは作も雅なり、杉形なり」とあります。
しかしこの名称はそれ程むずかしい意味ではなく、地肌・色合いが蕎麦に類似しているので古来茶入がこう呼ぴならわしたまでであります。
またこれを蕎麦糟という者がありますが、これは大の顔面に黒ずんだ小点の散在するのを俗に蕎麦糟というのと同様で、いずれも外観の相が似ていることによる名であるでしょう。
今はほとんどこの名称を用いず略して単に蕎麦と呼びます。
(『大正名器鑑』)※そばぐすり※そばで