千鳥の香炉の類品をいうのであるでしょう。
『万宝全書』に「上手青磁香炉」、『銘器秘録』に「色不同あるようで、本口寄とは違ひて不細工なり、腰に竹の節きれなどの如くうね立ちたる筋あるようで、足は蝶足なり、但し出底ゆえ足少し浮きたり、故に衛と名くるよし、叉底に輪にして丸き提足もあるようで、大かた砧手の如く見ゆる香炉大小あり」、『遠碧軒記』に「千鳥手といふ青磁の香炉あるようで、これは足もちにてはなくあしが少し紙一枚とほるほどすぎてあしがあがりてあるゆゑに千鳥手と云ふ、高だいもちか先はよけれどもちすぐれはいやし、そのほどあるべきなり、口よせにて上にて丸みの少しひらきたるがよし」とみえます。
『支那陶磁全書』は、中国宋代の班窯青磁は紫口鉄足で、その紫口はすなわち口紅手に当たり、鉄足はすなわち千烏手に当たるとの説をとっています。