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鶴田 純久の章 お話

カイラギ,梅花皮・鰄とも書き、カエラギ・カエラゲとも言います。本来、「東南アジア原産の鮫類の皮で、アカエイに似た魚の背皮」を意味するようです。その皮で、刀剣の柄や鞘や、装飾品に用いられたといいます。釉が縮れて粒状になった部分を言います。カイラギは本来刀剣の柄などを飾る蝶鮫の皮のことで、その白いざらめき肌が釉縮れに似ていることから、転用されたともいいます。高台も削り出しが荒くなされた後釉をかけますと、窯の中でその縮れた土皺の間に釉が結粒し、カイラギを生じます。茶湯では景色として喜ばれます。,

淡交社,茶道辞典より

このカイラギとは、釉薬の特質での温度が上がるにつれ、まず収縮しその後、水飴のように熔けて広がりガラス化するのですが、このガラス化になる過程で、微妙な温度と土の状態とタイミングで、縮れて広がる手前で冷却されて,いるものですから、きれいに梅の花が散った様に釉薬が固まってできた模様のことをいいます。
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そのように焼き上げられた器の部分を、昔の茶人・数寄者等がそれを見いだし珍重し「カイラギ」と見立てて、その名称で今日にまで伝えられたのだと思います。
それらは現在まで唐津焼、萩焼のルーツとして現在まで受け継がれています。
そのほかにも志野焼の中にも同じ様な模様をした陶器も見られます。
特に有名なものとして古陶器の井戸茶碗など李朝系(朝鮮半島)の陶器が挙げられます。
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焼き物を作る上で、はっきり言って釉薬では不良品だと思いますが、そういった不良品を日本人特有の美的感覚から美術工芸品として、またこの出来損ないの名前に梅花皮(カイラギと読ませる)ところにも昔の茶人の粋を感じます。

釉薬,
梅花皮の釉薬とは、釉薬の縮れが轆轤成形時に土の泥状がついた所にはあまり出来ず、それを削り取った所に出やすいという性質の釉薬。長石の割合が多い長石釉。萩焼でも同じような釉が使われています。

かえらぎ・かいらげともいう。釉のちぢれである。朝鮮系の井戸茶碗などで、腰部や高台付の取巻きのあたりに釉が鮫肌のように荒れてぼろぼろにみえているのは、一つの景色として賞美される。かいらぎはもと刀剣に装用した蝶鮫の皮のことで、釉がちぢれて荒れた様子が鮫皮によく似ているのでかいらぎという。粗陶器は下部が焼け不足なので釉薬が十分に熔着しないためかいらぎとなるのであり、技術的には一欠陥とみなすことができる。(『陶器集解』)

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