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鶴田 純久の章 お話

Bowl,two-colorglaze.Naraperiod,Japan.
正倉院蔵
口径19.9㎝
 この深鉢形の怨と呼ばれる器は、古墳時代以来の特色をもつ形式であり、おそらく響銅などの金属器を模したものでしょう。薄手に成形して、腰にふっくらとした張りをもたせるところはいかにも金属器の流麗な表現性と一致するものです。唐三彩にはこの種の鉢は見られません。施釉も奈良三彩通有の方法が用いられており、緑釉をもって口縁から底に向かって円弧を重ねていく、あたかも青海波を逆にあらわすような描法がとられ、余白を白釉で埋めています。緑釉が流れおちて白釉に線状のなだれを作るその表情は、中国でいえばむしろ晩唐の三彩に近いのです。むろん奈良三彩のほうが時代が遡ることはいうまでもありません。見込みの釉は淡い発色ですが、施文は同一です。緑釉は磨りがわるく、濃緑の釉むらが随所に見られますが、焼き上がりは良好です。(矢部)

二彩 盌

二彩 盌
二彩 盌

Two-color glazed ware: bowl. 8th century. Diameter 19.9cm.
8世紀
高さ8.0cm 口径19.9cm 底径12.9cm
正倉院
 大形の器の形態にぞくするもので、皿あるいは平鉢とは呼び難いです。
 緑白二彩で、外面は連弧千鳥三段、内面は連弧一段の緑釉で描かれています。釉は磨りが悪く、むらが多いです。

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