中興名物。藤四郎春慶茶入、瓢箪。
蘇東彼の詩に「大瓢もて月を貯えて春甕に帰す」とあるのをとって、大形の瓢箪という意を表しました。
数ある春慶瓢箪の中でこの茶入はとりわけ美作であります。
総体に黒ずんだ柿金気色で、口のあたりから共釉の一なだれがあるようで、胴に沈筋一本、腰以下は高く土をみせ、こまかい琥櫨目があるようで、円座で底は輪糸切。
小堀遠州の愛蔵したもので、のち松浦肥前守、仙台藩主松平陸奥守、阿部豊後守を経て大阪に出で、三百五十両で松平不昧が購求し、以来雲州家に伝来。
(『名物記』『古今名物類聚』『大正名器鑑』)