Picture of 鶴田 純久の章 お話
鶴田 純久の章 お話

大名物。漢作肩衝茶入。
もと筑紫国(福岡県)にあったのでこの名があります。
総体栗色地に紫気を含み、また金気が多く銀砂子のように日光に映じてちらちらとみえます。
肩廻りに黒飴筋が双方から落ち合い、胴紐の下から一つになって盆付までなだれ掛かります。
その釉溜まりは厚く青瑠璃色を現しています。
この置形から反対の面に黒飴釉のなだれがあるようで、肩先と腰廻りに柿色を含んだ釉抜けがあるようで、その抜けの周囲に黒飴釉が散点して極めておもしろい景色をなしています。
もと京都大文字屋所持、のち豊臣秀吉、竹中采女、徳川家康、水戸侯、徳川幕府と伝わり、1731年(享保一六)八代将軍吉宗の第三子宗武が江戸城田安門内に別邸を賜った際、将軍からこの肩衝を与えられ、以来同家に伝来しました。
(『玩貨名物記』『名物記』『古今名物類聚』『大正名器鑑』)

つくしかたつき 筑紫肩衝

漢作唐物肩衝茶入。
大名物。
その名は、もと筑紫にあったためといわれます。
徳川吉宗から田安宗武に贈られ、代々同家に伝えられましたが、昭和四年長尾家に納まりました。
口造りが厚手で、捻り返し浅く、口縁は一部薄めのところもあります。
甑下は縮まり、周囲には浮筋一線がめぐります。
肩はきっかりと衝き、肩先より丸みをもってふくれ、裾以下は次第にすぼまります。
濃い柿釉が十分にかかり、黒飴釉のなだれが双方から出会い、盆付まで厚く流れ見事な置形をなしています。
釉溜りは厚く、青瑠璃色にみえます。
この置形の反対面には黒飴釉のなだれがあり、その中の柿色を含んだ釉抜けの周りに黒飴釉が散点して、面白い景色を呈しています。
底は板起しで縁がもち上がり、胴筋も鮮明です。
総体に無疵で、作行きも一段とすぐれ、胴紐下に細い小粒のひっつきがあり、裾以下土の上に細かい轆轤がまわり、漢作茶人としてきわめて変化に富んでいます。
内部も口縁に釉がかかり、以下轆轤目くっきりとめぐり、底中央に大渦状があり、ずっしりした風格のある茶入です。
【付属物】蓋―二 仕覆―二、珠光緞子・伊藤間道(図版右より)仕覆内箱 桐白木 仕覆外箱 桐白木、書付小堀宗中筆家―黒塗、内金粉沃懸挽家仕覆―和蘭木綿 内箱 桐白木、書付片桐石州筆外箱―桐厚板被せ蓋、書付小堀宗中筆 譲状
【伝来】大文字屋—豊臣秀吉竹中采女徳川家康 水戸頼房―徳川吉宗田安宗武
【寸法】 高さ:5 口径:3.9 胴径:8.3 底径:3.5 重さ:100

前に戻る
Facebook
Twitter
Email