Foliate bowl with floral design. Excavated from Kurozasa No.89 Ceramic Kiln, Miyoshi-machi, Aichi. 10th century. Diameter 17.3-17.8cm. AichiPrefectural Ceramic Museum.
愛知県みよし市大字福谷字根浦黒笹89号窯出土
10世紀
高さ5.6cm 口径17.3~17.8cm 底径8.5cm
愛知県陶磁資料館
おそらく水したと思われる白色良質の土を用いたやや大ぶりの腕で、入念につくられています。高台も同時期の通有な腕と異なり、断面長方形のやや裾張りのある丁寧なつくりです。内面に五方に粘土紐を貼りつけ、外側を押えて五弁の輪花につくっています。さらに内面の口縁に細い箟描きで半截四弁花文を、見込に太い圏線を続らして四弁花文を描いています。このような陰刻の牡丹文は、9世紀後半から10世紀中葉にかけて猿投窯を中心に尾張・美濃・遠江などの灰釉陶窯において展開された施文法の代表的なものであり、その源流が唐末宋初の青磁 白磁の碗にあることはあきらかです。た日本では中国のような半肉彫の施文はわずかに西寺跡出土の緑釉壺にみられるのみで、いっぱんには細い箟描沈線によって表現しています。このような花文をもつ器物には灰釉を施したものはほとんどなく、本器のように水された良質の土を用いたものは、おそらく緑釉陶器の素地として焼かれたものでしょう。内面を箟で削って、器壁を薄く均一にしています。