高さ23.3cm 口径15.8cm 底径9.5cm
逸翁美術館
朝鮮唐津にはすんなりと立ち上がった辣韮徳利形を見ますが、 この徳利のように胴に面をつけた変化に富んだものは例を見ません。 あたかも粉引の徳利に似た瓢逸味のある作振りがおもしろいです。 嗽叭状に広がった口部は縁を捻り返して玉縁状にし、底は平底です。 白濁色の藁灰釉と飴釉をかけ分け、肩には大きく火間が生じて、 赤く焦げた土膚を見せています。 胴には数か所窯割れが生じ、 一景となっています。 藤の川内窯の作でしょうか。
朝鮮唐津徳利
高さ23.3㎝
口径15.8㎝
高台径9.5㎝
逸翁美術館
藤の川内系の窯では、頭の細いらっきょう徳利も輪積み叩きで作ることがあります。
よくこの式の朝鮮唐津徳利で、頭に段がつき、上下が少し食い違ったものを見るが、叩きで仕七げてきた胴部に、細い口の部分だけは、別に析櫨で作って接着するからであります。
この徳利もそういう成形を経たものですが、胴の叩きが強すぎていびつになり、紐の継目あたりに干割れが生じています。
それだけでも巧まぬ景色となっていますが、それに加えて胴から下の飴釉と頸から肩へかけての藁灰釉の間に露胎が生じ、いわゆる火間となって赤い照りを見せ、茶方で最も喜ばれる風趣であります。
朝鮮唐津徳利
十七世紀初期 藤の川内窯
高23.3 径15.8
逸翁美術館蔵
叩きによる成形で、喇叭状に広がった口縁部は捻り返して玉縁になり、底はべた底です。上下に藁灰釉と黒飴釉をかけ分け、肩の火間が文様となっています。向かって左側に火が強くあたり、胎土までとけて、梅華皮とは違った景色となっています。あと五度くらい温度が上昇したら、この徳利は左の方に傾いて形をなさなかったでしょう。口縁から肩にかけて灰釉に燃料の松灰が降りかかって、青い斑点をつくっています。