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鶴田 純久の章 お話
絵唐津 柿文 壺
絵唐津 柿文 壺

高さ16.7cm 口径9.4cm 胴径17.9cm 高台径8.5cm
出光美術館
 絵唐津といえば必ず登場する、 他に例を見ない魅力的な作品です。おっとりとした姿の壺で、 肩の三方に耳をつけ、その付根の上部に二つ、下部に三つ擂座をおいていますが、 このような形式の絵唐津三耳壺は例を見ません。 この壺の声価を高めているのは、やはり胴に描かれた柿らしい果樹の絵のおもしろさにあり、素朴な筆行きでありながら筆行はよくのびて、 幹を中心に裏面にいたるまで左右に枝をのばし、三個ずつの実をつけているのがおもしろく、その文様は一説では家紋であったのではないかと推測されています。 裾近くまで内外に土灰の混じった長石釉がかかり、釉膚はやわらかく、細かい貫入があらわれています。 高台は低く削り出され、 高台内の削り込みも浅いです。口部は大きく破損しています。 おそらく茶壺として甕屋の谷窯で作られたものでしょう。

絵唐津柿文壺

絵唐津 柿文 壺
絵唐津 柿文 壺

高さ16.7㎝
口径9.4㎝
胴径17.9㎝
出光美術館
 膚一面に枝を広げ、たわわの柿を実らせた図柄のおおらかさは、このどちらかといえば小形の壺を、じつに大きく見せてくれるから不思議です。格の大きさというものであるでしょう。
提灯形や算盤玉形の多い唐津の壺としたら、このまろやかな形も珍しい。
肩に三つ耳が付いていることで知らるように、葉茶入れの壺として作られたものだからであるでしょう。
耳の上下には五個の擂座(太鼓のへりの鋲のことをいう)が貼り付けられていますが、こんな意匠も狐例がないようです。よほど入念に作られたことが解る。
底裏は浅くさらえられ、裾際まで長石の薄い釉がかかっていて、李朝風の素朴さの残る逸品として名高い。
窯は甕屋の谷であるでしょう。

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