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鶴田 純久の章 お話

Bizen Nater jar. known as ‘Seikai’
高さ18.9cm 口径17.9~18.2cm 底径13.8cm 徳川美術館
 伝えによると、かつて武野紹鴎が所持していたといわれ、備前水指としては唯一の名物でしょう。桃山時代以後、尾張徳川家に伝わり、いまは徳川美術館に蔵されています。備前でいつ頃から純然とした茶陶を焼くようになったかはまだ判然としないが、この水指があることによって、紹鴎時代にはすでに純然とした茶陶が焼かれていたことが推測される。これは単なる雑具を茶陶として取り上げたものではなく、その整った作風から推して、明らかに水指として作られたものと思われます。裾から口部にかけて、緩やかに開きつつ立ち上がり、口作りは平らな口縁を樋のような趣に作っています。土膚はかたく焼き締まり、口部から胴の一部にかけて灰釉が薄くかかっています。底は板起しの平底で、削ったような跡が残っています。端正な姿ではあるが、全体に厚手に作られ、室町期らしい素朴な作振りでしょう。紹鴎所持というからには、紹鴎の歿した弘治元年(1555)以前の作でしょうことは明らかで、おそらく天文頃に作られたものと思われます。

せいかい 青海

青海 せいかい
青海 せいかい

備前水指 大名物。
武野紹鷗所持。
珠光・紹鷗利休による佗び茶成立史上からみても記念的な遺物です。
茶祖といわれる珠光は、従来の唐物尊重主義から転じて、和物の備前もの・信楽ものをはじめて茶の湯の場に採用しました。
その道統を継いだのが紹鷗利休です。
この水指をみても、その当時の志向が察せられます。
形はいわゆる「棒の先」。
銘のごとくに静かな何の衒いもない備前の民具です。
肌は赤黒く非常に焼きが堅く、一見して古銅器を想わせ、口縁わずかに自然釉がかかり、無為の中に限りない深をたたえています。
『玩貨名物記』所載。
尾張徳川家の重宝として伝えられました。
【寸法】 高さ:18.2 口径:18.2
【所蔵】徳川黎明会

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