天命釜。
肩は一文字で、唐金の同じく一文字蓋を載せている。
鐶付は常張であるが、三つ山形をした鶏頭耳をしている。
胴周りは肩に面取りの段を付けて縁とし、その下に亀甲文を二段連続して並べて地文としている。
この亀甲文は一般の亀甲地文に比べると大振りで、表現もおおらかである。
天命釜で亀甲文の地文を付けるものは珍しい。
芦屋釜のような整然としたところがなく、地肌も適当に荒肌を示しており、独特の雅趣を醸し出している。
下部を欠き、底を入れて尾垂釜に改めており、長く愛用されていたものであることがうかがわれる。
【伝来】千宗旦
【寸法】 高さ:16.8 口径:12.0 胴径:26.8