十七世紀。
インド古渡り更紗中の代表的作例である。
﨟額によって白地を残し、輪郭線としているが、あとで色を差した部分もあり、重厚さを表わすのに効果的な手法をとっている。
紫は臙脂に青をかけ、中心となる部分の輪郭には墨を加えている。
この裂はもと茶入の仕覆に使用されていたが、糸を解いて保存されている。
このような古渡更紗裂類は、江戸末期頃まではしばしば茶入の仕覆として使用されたようであるが、次第に煎茶道具の袋などに用いられるようになってからは、抹茶の世界からは姿を消していったようであるが、表具裂や冊子の帙などにはしばしばみることができる。
十七世紀のインドにおける代表的染織品としてもてはやされてきた。