卒翁筆、偃溪広聞賛。
布袋が袋を傍らに飄々と坐し、天空を見上げる姿もうりようだいえを、淡墨減筆によって描出する、いわゆる岡兩画風である。
卒翁は直翁の印文の誤読とするが、両者とも画伝にない。
現存作品には、十三世紀中頃に活躍期をもつ禅僧たちの著賛があるところから、同時期の禅林所縁画家であろう。
賛者の優溪広聞は黄聞とも書き、大慧系の禅僧で五山各寺に歴住した大物であり、南宋の景定四年(1263)75歳で示寂している。
したがって本図の制作も十三世紀中期に想定される。
【付属物】外題一旦入筆
【寸法】全体―縦165.7 横30.8 画面縦92.0 横29.1
【所蔵】梅沢記念館