狩野正信筆、景徐 周 麟賛。
重文。
布袋は禅宗祖師像としてしばしば登場多くの画人によって制作されている。
本図は、人体表現としてはその均衡が著しく無視され、ほとんど円形にまで変容されている。
背景には、室町期水墨画の伝統様式が存続しているが、像主にあっては、もはや禅的精神の表象性は影をひそめ、人間の情感が露呈し、彩色も衣文線の形態が賑やかさを増している。
賛者の景徐周麟は、明応五年(1496) 鹿苑院に入り、僧録司を勤めた禅僧で、この詩は『翰林葫蘆集』にも収録されている。
【付属物】極書―三、真珠庵宗玄・狩野常信・狩野洞春筆 添状―真珠庵より安田右京あて