松谿筆。
ほとんど垂直にそそり立つ遠山を背景に、高士の清遊する水辺にしゅうぶん臨む楼閣を前景に配したもので、周文風の構図である。
淡彩は清澄で潤いがある。
印章は「松谿」で、近時「天遊」印を併せもつ布袋図が見出され松谿天遊なる画人の存在が確実視されるに至った。
松谿画については『本朝画史』に「能画墨観音像、而学牧谿、或日宅間之裔也」とあるのが唯一だが、その特徴は水平線がなく、周文流の平遠山水に比べて深さに乏しいが、画境は清澄である。
楼閣などの描写は院体画風で、淡彩の手法とともに周文画の多様化を示す。
【寸法】 全体 縦148.0 横47.4 画面縦55.4 横33.7
【所蔵】梅沢記念館