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鶴田 純久の章 お話

中興名物。
古瀬戸肩衝茶入。
小堀遠州の選んだ銘であります。
小形でやさしいこの茶人には最もふさわしい銘といえます。
伊勢国神戸(三重県鈴鹿市神戸)の城主本多伊予守所持、のち松平不昧、岡田伊勢守、京都東本願寺、藤田平太郎家と転伝しましたが、井上薫の八十歳の祝賀に当たり藤田家より同家に贈られました。
(『大正名器鑑』)

おみなえしかたつき 女郎花肩衝

古瀬戸肩衝茶入。
中興名物。
小振りで、瀟洒な感じのするところから小堀遠州が付けた銘です。
古瀬戸茶入というものは、小造りながら総体に力強いです。
後世の茶入作者はみな好んでこの茶入を模してつくっています。
大正二年東本願寺入札に出て親引となり、のちに藤田平太郎男爵に譲られましたが、井上世外侯八十年賀の節、藤田男爵から同侯に贈呈されました。
口造りは厚手で、捻り返しが浅く、口縁に一カ所漆繕いがあります。
胴が少し張り、裾周りでくびれたところがあり、裾以下金気色土をみせています。
底は割合に広く、糸切は少し荒いが鮮明です。
中に石はぜ二カ所と小さい土ほつれがあります。
柿金気色に少し紫色を帯び、黒釉が飛雲のごとくところどころに現われています。
胴中に黒い沈筋一線をめぐらし、肩のあたりはことに黒釉が勝ち、光沢が美しく、小形で気のきいた姿です。
古瀬戸肩衝茶入の一典型を示し、古瀬戸窯では最も多くつくられた類といえましょう。
仕覆は二枚あり、古金襴と間道とが調和よくとり合わせています。
【付属物】蓋 蓋箱桐白木、書付松平不昧筆 仕覆―二、白地一重蔓古金襴間道継合(図版右より)仕覆箱―桐白木、書付同筆 挽家―鉄刀木、額彫緑青入、書付小堀遠州筆 唐物朱段文四方盆裏青漆 内箱 桐白木書付 外箱―桐面取朱塗、書付松平不昧筆 譲状(記録のみ) 大谷家より藤田平太郎あて
【伝来】 本多伊予守 松平不昧 東本願寺 藤田平太郎井上世外
【寸法】 高さ:6.8 口径:2.8 胴径:5.1 底径:3.4 重さ:95

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