Picture of 鶴田 純久の章 お話
鶴田 純久の章 お話

Flower vase, known as “Namazume¨
Height 25.3cm

高さ25.3cm 口径10.8cm 底径13.0cm
太い筒形の花人の口部を鐸のように水平に開き、胴中央よりやや下に太い胴筋をー筋めぐらした、全体に力強く、しかも素朴感のある作振りで詫びた趣の花入であります。正面口部から裾にかけて、あたかも瀑布のように草緑色の釉が流れるようにかかり、背面は赤い膚に一部灰色や黒色の焦げが生じた鮮やかな景色をなし、背面にカンを付け、正面上部にも紋付穴を填めた跡があります。これと似た器形で千利休在判の花入があることから推して、天正年間後期の伊賀焼であったことは明らかで、あるいは利休の好みを受けた茶具ではなかったかと推定され、桃山の伊賀焼花入のなかでも初期的な作例と考えられます。
しかもかつて古田織部が所持していたものであり、下記のような織部の書状が添っている。「花筒つめをはかし候やうに存候宗是ことって進入候我等より参候茶入宗是に可被遺候来春万々可得貴意候間不能詳候以上恐惶古織部大晦日(花押)宗ヶ老人々御中」とあり、愛蔵していたこの花入を譲るのは爪を剥がされるような思いであると述べているのがおもしろく、それによって「生爪」と称されています。懇望したのは茶の湯者として知られた上田宗箇で、後に道朴、伊丹屋宗不と伝来しました。

生爪 なまづめ

生爪 なまづめ
生爪 なまづめ

伊賀花入。
筒形で、口は鍔口となり、腰に太く一筋帯をめぐらし、ずんぐりとしていて気のきいた形とはいえませんが、それだけに古格を感じます。
正面にはビードロ釉が流れ、裾に焦げをみせた味わい深い花入です。
伊賀花入は多くが耳付で、耳なしは珍しいですが、これは藤堂伊賀との見分けともなっています。
織部の文に、上田宗筒の強いての懇望により譲りますが、愛惜の情たえがたく生爪を剥がされる思いだとあり、銘はそこより出たもの。
【付属物】箱―桐白木、書付伊丹屋宗不筆 添状―古田織部より上田宗箇
【伝来】古田織部上田宗箇道伊丹屋宗不
【寸法】 高さ:25.4 口径:15.1 胴径:12.8~15.1 底径:11.0 底径:11.0~13.0

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