Picture of 鶴田 純久の章 お話
鶴田 純久の章 お話

Flower vase with two handles. known as ¨Karatachi”
Height28.4cm Hatakeyama Kinen,kan Museum Registered as lmportant Cultural Property

重要文化財
高さ28.4cm 口径8.2cm 左右15.0cm 底径13.0cm
畠山記念館
 桃山時代の和陶花入のうち、もっとも声価の高いのは伊賀焼であります。一般に織部好みと認められている作為のつよい特異な器形と、法外ともいえる激しい焔の洗礼を受けて生まれた凄味のある焼膚とが異様に調和して、他の窯の作品では味わうことのできない破格の美しさをもたらす。しかも草庵の茶室にあって花を挿すと、いかなる花入より荘重な床の間を出現させる。
 伊賀焼に見る破格の美を象徴するのが、この花入といえる。外に開いたロ造りは口端を内に抱えて寄せ口とし、頸部を引き締めて左右に耳をつけ、六角面取りにした胴は裾に箆をまわして姿を整えています。焼成中に□部が割れて欠失し、その残片が頸や胴に散り、そのうちの一片、三角の破片が胴の上部に付着して鋭い棘のようであることから、棘のあるからたちに因んで「からたち」と名付けられたらしい。口部から胴にかけて薪の降灰をずっぽりと被って、上部は灰黄色と一部草緑色の釉膚をなし、下半部は暗緑色、紫黒色に焦げています。伊賀のこの種の灰釉を俗にビードロと呼んでいますが、自然柚であるから裾から底にかけては柚はかからず、褐色に焦げた土膚は意外にやわらかく焼き締まっています。頸部の表と背面にある欽付穴は填められています。かつて加賀の前田家に伝来したものであります。

からたち

からたち
からたち

古伊賀花入。
古伊賀の中でも最もすぐれた花入であります。
古伊賀はいくども窯に入れて焼くという、この花入は最もそれが明らかであります。
口のあたりが欠けたり、そのかけらが飛び散って胴の各所にからたちの刺のようになっているのは、なんども窯に入れて焼いているうちにこうなったものであります。
またコゲが強くついて、しかもビードロ釉がその中に光を放っているのも、それを物語るものであります。
前田家伝来で、現在は畠山記念館の所蔵。

からたち

からたち
からたち

伊賀耳付花入。
重文。
口辺の正面左寄りが強い窯火を受けて土堤のようにくずれ、口から肩にかけて三角形の破片がばら蒔かれています。
それがあたかも枳殻の刺を想わせるところからの銘。
また花入全体から枳殻の花そのものの風情を覚えるからともいいます。
口のくずれは右側にも上弦の月のごと孔を打ち抜いています。
角耳に、六角に面取りされて裾が開き、下半七分までうずめた焦げもビードロ釉に包まれて光沢を放ち、ビードロ釉は左側面の赤い胎土にまじえて萌黄色を流してもいます。
山疵が欠点とならず、自然の山野を想わせる景色は力強いです。
【伝来】 加賀前田家
【寸法】 高さ:28 口径:13〇~13.5 重さ:26五〇
【所蔵】畠山記念館

前に戻る
Facebook
Twitter
Email