小杉焼 こすぎやき

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鶴田 純久の章 お話

越中国射水郡小杉(富山県射水市)に産したものです。
小杉は古くは故志機と書き、その陶窯も早くから起こったようですが、いつの頃からか衰頑し享和年間(1801-4)まで存続した東斎焼というものが果たしてその系統であるかどうかは現在でも明らかでないようです。
一般に称される小杉焼は、同地在高畑の人与右衛門が1835年(天保六)頃に創窯したものであります。
与右衛門は十八歳で諸国の陶場を巡歴し相馬風の法を習い、十余年で帰郷し同地在平野山の土を採って業を始めました。
その製品は花瓶・水指・茶碗・燭台・火鉢・徳利・盃・急須・片口・壺・石皿などで、そのうち徳利の種類が最も多く鴨徳利・太鼓徳利・瓢箪徳利・茄子徳利その他の立徳利で、鴨徳利が最も有名であります。
その釉は銅青磁釉および飴釉を代表的なものとします。
図案文様のあるものは少なく、主として形の意匠に特徴があります。
特に初代の琥櫨が最も巧みであります。
以上のような特徴的作風によって当時広く販路が開けていましたが、三代目陶山三十郎の1887年(明治二〇)頃まったく廃窯してしまりました。
多く無印でありますが、瓢形の中に小杉と記したもの、古杉と捺したもの、また小杉と五号活字大の小印を捺したものなどがあります。
(『越中製陶史稿』『茶わん』四三)

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