尾張常滑の陶工赤井新六。1762年(宝暦一二)生まれ。陶然と号した。尾張藩の風炉師で、非常風流に厚くまた奇行で知られた。その土風炉にはみるべきものが多く、そのほか灰釉を施したすぐれた水指など各種の茶器をもつくった。またその陶然の二字額は尾張藩主より賜わったもの。1829年(文政一二)十二月没、68歳。二代陶然は1796年(寛政八)生まれ。磊落な性格で父に劣らず奇行が多く、風炉師の業を辞して北条山中に閑居し、その作品は南蛮写しの雄渾な茶陶が多く残されている。1858年(安政五)七月没、63歳。三代陶然は1818年(文政元)生まれ。南蛮写しの急須が多く残されている。四代陶然は三代の甥の弥八郎で、三代に嗣子がなかったので養子となり陶然を継いだ。俗に弥八陶然といって区別をする者もいる。1843年(天保一四)生まれ、1914年(大正三)十一月没、72歳。茶器・花瓶などの雅作を出した。なお陶然は初代・二代・三代と明治維新に至るまで、御風炉師赤井陶然の尊称をもって呼ばれていた。