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鶴田 純久の章 お話
土師器 壺
土師器 壺

Haji ware: jar. Excavated at Funabashi Site, Kashiwara-shi, Osaka. 4th century. Height 19.1cm.
大阪府柏原市船橋遺跡出土
4世紀
高さ19.1cm 口径18.8cm 胴径17.6cm 底部孔径3.0cm
大阪府教育委員会
 船橋遺跡は大和川が河内平野に流れ出る洪積台地の末端に形成された縄文晩期から歴史時代にいたる長い歴史をもった大集落遺跡です。遺跡は柏原市と南河内郡美陵町にまたがっており、宝永三年(1706)の大和川改修によって、同河床下に埋没しました。
 この壺は畿内における土師器の最古型式の一つです。扁円形の胴に筒形の口頸部をもち、口縁部は二段に大きく開いた、いわゆる複合口縁をしており、大和桜井茶臼山古墳墳頂から出土した壺形土器に類似しています。やや砂質に富んだ良質の素地で、器面は内外面とも箟削りによって丁寧に調整されています。焼成はそれほど堅くありません。底部はおそらく小さな平底になるかと思われますが、直径3cmの穿孔のため明らかでありません。孔の外側に方形の刻線の一部が残っています。孔は焼成後に穿ったものです。このような底部穿孔は本器が実用の容器としてでなく、茶臼山古墳墳頂の同形の壺形土器のように、祭祀に関する器物として用いられたことを考えしめます。

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