高さ10.0㎝口径20.5㎝高台径8.5㎝田中丸コレクション 飴釉というか、濃いめの灰釉が赤い土膚にかかって黒っぽい発色となったもので、上に長石釉をもう一度かける普通の黒唐津とは類を異にします。藤の川内窯で焼かれた天目茶碗に、これと同じく飴釉をかけただけのものを見るから、李朝飴釉系の唐津として別の名をつける方がいいと思う。長石粒を噛んだ赤い土を速い轆轤で什上げた作りは、明らかに李朝直流のものであります。形が杏形みたいにひずんでいますが、これは窯の高温で自然になったものらしい。高台は広く低く、内をわずかにさらえています。平明な好もしい作品で、おそらく藤の川内窯の産であるでしょう。