Picture of 鶴田 純久の章 お話
鶴田 純久の章 お話

Bizen ware: jar with four handles. Dated Temmon 2(1533). Height 34.6cm. Tokyo National Museum.
天文二年(1533) 銘
高さ34.6cm 口径12.8cm 胴径31.4cm 底径15.7cm
東京国立博物館
 腰をしぼった丸胴にやや長い直立する口頸部を付けたこの四耳壺は明らかに呂宋茶壺を写したものであり、それまでの茶壺とは系譜を異にしています。三角状に高く盛り上がった耳の形状、底部の上げ底風のつくりは「真壺茶入トモ多分底上へソル」 といわれた呂末茶壺の約束にしたがっています。底裏に箟書きで
卯月吉日 天文二十歳 主彦左右門
の銘を刻んでいます。呂宋貿易が盛んになるのは文禄・慶長にかけてであり、天文年間にすでにその影響が現れていることは、当時漸く茶の湯の流行が盛んになるに伴って、茶壺の高級品として珍重された呂宋壺が茶人の間に求められたためであり、侘び物茶陶の先端をきった備前においていち早く現れていることは故なきことではありません。
 口頸部から胴のなかほどにかけて朽葉色の自然釉が被り、剝離して灰色を呈しています。胴下半は赤褐色を呈し、鮮やかな色調の対比によって、この壺を変化に富んだものにしています。

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