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鶴田 純久の章 お話

Bizen wine bottle
高さ14.4cm 口径3.5cm 胴径9.6cm 底径6.5cm 畠山記念館
 前二作は他に見ない異例の器形であったが、この徳利は備前焼の徳利にかなり多く見る形で、いわば典型的な器形の一つといえます。手なれた形姿でしょうためか、見るからに素直で、ゆったりとした安定感が好ましい。この形の徳利のなかでは無類の優作で、外につつましく開いた口部から底にかけての曲線は、まさに「巧匠後を留めず」の境にあるといえます。しかも土膚はざんぐりと柔らかく焼き上がり、頚から肩、胴にかけての半面には灰釉、すなわち備前焼にいう胡麻釉が薄く濃く自然に降りかかり、あとの半面はあるいは暗く、あるいは明るい赤みに焼き上がっています。その渋く味わい深い。肩に「十」の印を箆彫りしています。

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