口造りは輪口で、肩は撫肩とし、与次郎風の鬼面鐶付を付け、胴と底との境に半月状の手かけを左右に出した珍しい形の釜である。
元来、整り鍋を逆さまにし、底に穴をあけてこれを口とし、底をあとからとり付けて釜に仕立てたもので、裏熬・裏合とも書かれる。
形姿・釜肌ともに粗野な感じを出した釜で、一般に天命作といわれている。
『名物釜所持名寄』には、天命古作として「裏整釜 利休所持 釜底は後底 鐶付与次郎作」をあげている。
佗び味をよく表現した釜であり、茶の湯釜の中でも独特の形式をもつものである。
【寸法】 高さ:15.45 口径:12.8 胴径:26.4、(羽打含む)32.5