芦屋釜。
重文。
真形。
ロ造りは繰口で、両肩のやや下がった位置に鬼面鐶付を付け、肩に玉縁一筋をめぐらし、胴周りには浜松の図を柔らかい箆使いによって現わす。
羽は打ち落とし、尾垂釜に仕立てている。
これは長く使用したため底がいたんだので、胴の下部を欠き底をはめたもので、欠い痕の形を面白くみせている。
釜肌もきめの細かい地肌をしており、文の表現も霰地で洲浜を現わすなど、古鏡文様をみるように優雅で美しい。
このような「浜松図釜」は古芦屋作の中に数多くみられるものであるが、中でもこの釜は意匠構成といい、表現手法といい、非常によく整った美しさをもっている。
【寸法】 高さ:17.0 口径:14.3 胴径:24.5