ふつうの茶杓より半分も広い幅の櫂先である。それを削り細めずに切止に至っている。切止のすぐ上に節を置き、逆樋の芽痕が突出する。撓めは二段で痛みがあり、朱漆で補修されている。天下に二本とない奇である。筒は杓に似ない尋常な真筒。面取りして「〆 不老門 百庵」の書付も神妙である。「切止の二分ほど前に高節あり、通例のとは半分程広し。細川三斎の茶湯堪能の者若き時は一斎と号し、三斎の三分の一ならでは得せずとて一斎とつけるなむ、長生して、公十六歳の時元日は百歳になりける御茶削り奉りてそれより百斎と改む由也」の書付がある。【寸法】茶杓長さ18.6 幅0.7~1.5 筒長さ二六【所蔵】 陽明文庫