
明代。
名物裂。
名称は京都誓願寺五十五世安楽庵策伝(1554~1642)がこの種の裂を所持したことに由来する。
別名誓願寺裂とも呼ばれ、宝尽紋裂が多く、大柄で金地のものが知られるが、金色の輝きがすぐれているとはいえない。
この裂は地合いを金地とし、萌黄の菱紋繋ぎを地織とする。
上紋は双龍紋を内包した火焰珠の図柄で、六センチほどのやや縦長の宝珠である。
珠を鼻先にささげる姿の龍が向かい合っている。
万暦期の裂に比べて著しく見劣りするから、たぶん天啓頃のものであろう。
安楽庵織機の類裂はまことに多く、この裂は北京織であるとか田舎織でいやしいとか、さまざまの風説がなされているが、必ずしても下手とはいえない。



