明代。
名物裂。
1.2センチほどの石畳を縹・赤・萌黄・白・浅葱の五色で斜め状に織り出し、これを地紋として夕顔紋様と巻貝に波紋様を意匠化して交互に配している。
古渡りと後渡りなど二、三種あったようであるが、遺存するのはこの紋様裂であり、『古錦綺譜』には石畳に4.2~4.5センチほどの龍の丸紋が散らされていたと伝え、「近年萌黄地安楽庵に蜀江模あるを大蔵装束に寄せて大蔵裂とも遠州裂ともいふ」とある。
『銘器秘録』には「模様色々あり、鱗形一寸計りの色違ひあり、地色は丹地なり紫入りもあり」と記されている。
この裂には龍の丸紋のような中国的意匠はなく、むしろ夕顔などに和製または注文品の意匠らしいところがみえる。