明代。
名物裂。
〇・九センチほどの小石畳紋を金糸で現わし、その中に宝とばり尽紋を配し、地合いの萌黄の中央に珠点を入れた緻密な織物である。
大徳寺創建のとき、帷帳にこの種の石畳金襴が用いられたと伝えるが、実際には明代末期の織製になるもので、現在、大徳寺では江月和尚所用の裂とし江月裂の呼び名が用いられている。
なお大徳寺裂と称するのは、むしろ大内義隆が天文七年(1538)寄進した旨を記した書入れがある尊氏金襴の方であろう。
中興名物「思河茶入」同「小川茶入」同「増鏡茶入」などの仕覆として用いられているから、小堀遠州が所持した裂を茶入に添え、また江月和尚に贈ったという推測もなされる。