高さ25.3cm 口径9.4×11.5cm 左右15.6cm 底径9.5×12.5cm
口部を歪ませ、 胴に段をつけて裾を細くし、 左右に大振りの耳をつけた、かなり作為的な作行きの花入であり、叩き作りで成形され底は平らです。 胴の一方に梅らしき枝二本、 他方には柳の枝、 蛇籠などが描かれ、 簡素な表現で自然の風物を象徴的に描くのは絵唐津の特色ですが、 朝鮮的な技術と和様の好みとが一体となって、 同じ絵のある陶器でも美濃ものと違った味わいがあります。 かつて掛花入に用いたため、 前後に釻の跡が残り、底にはやわらかな赤い土膚が見えています。 同様の作例が他に一つ知られ、 いずれも藤の川内系の窯で焼かれたものと推測されています。
絵唐津耳付花生
高さ25.3㎝
口径9.0×11.5㎝
底径9.5×12.5㎝
唐津の花生は決して少なくないが、不思議なことに絵唐津の花生はごくわずかしかないようです。
おそらく志野と同じで、絵のある花器は花の興趣を殺すからという配慮があったのであるでしょう。
だからこれは異例の花生ということになるが、それだけにじつに出来栄えがいい、形は尊形(中国殷.周代の酒を入れる礼器)をアレンジしたものかと思われるが、有名な「伊賀筒花生 銘生爪」に近い感じがあります。
叩き作りなのでどこか粘りのある姿です。
口縁と裾にうねりを付けて形を締め、柳の枝や蛇篭などの絵をよく伸びた筆で描いています。
藤の川内系の窯の産と思われます。
絵唐津耳付花入
絵唐津は、鉄分の多い砂土の胎土の上に、草花文様や橋上人物図など瀟洒な絵を鉄釉で描き、その上に灰色釉を施したものであります。
一般に花入には卓然としたものが少ないですが、この花入は姿がよく、口造り、耳付の具合い、やや青みのある一段高い台座、高台の捻り返しなど面白味十分で、いかにも織部好みらしい爽快な花入であります。
ことに眼のさめるような草花文様は、唐津独特の洒脱な趣があって見事で、群を抜いた名品といえます。
絵唐津の掛花入で寸法の小さいのはたまにみかけますが、伊賀や備前のような寸法で置花入はこれ一品といってよいです。《寸法》高さ24.5 口径9.5~11.7 胴径13.1~14.1 底径10.6~13.2