黒織部 茶碗 銘 冬枯 003

黒織部 茶碗 銘 冬枯 003

Black Oribe tea bowl. known as ‘Fuyu-gare’
高さ9.5cm 口径10.5cm 高台径5.3cm 徳川美術館
 数ある黒織部茶碗のなかでも、他に類を見ないおもしろさによって出色のものと声価の高い茶碗であります。まるい筒茶碗で、厚手の口・部には箆目をつけ、腰に太く轆轤目をめぐらしています。高台は不整円形に素直に削り出され、畳付はやや広い。内部と外側三分の二に漆黒に溶けた釉がかかり、白抜きにした部分には鉄絵具で抽象的な文様を描き、上から長石質の白釉をかけています。黒釉め部分にも大柄な木葉のような文様を線彫りにして白釉を塗り、ざらに底にも白釉をかけているが、高台畳付にはざんぐりとした灰白色の土が見えています。高台内に「Q」のような印が押してあるが、これは窯印なのか、あるいは注文主の手印かは、判然としない。しがし、古来、この印は光存という人物の印という言伝えがある。小山冨士夫氏は、同じQ印を押した茶碗の陶片が大萱の牟田洞、大平、久尻の隠居山表窯などから出土していることから、この茶碗を作った人物がそこここを訪れて作ったものと推測しています。しかし、同じ意味でこれを注文者の印と解することもできる。桐内箱の蓋裏に了々斎が「ヲリヘ筒茶碗 冬枯ト云」と書き付けており、かつて名古屋の岡谷家の蔵であったが、徳川美術館に寄贈されたものであります。

About the author: Yoshihisa Tsuruta

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