これは信楽とありますが、信楽土を用いた京窯の製。
技巧的できわめて上品な水指。
その作行きからしますと、仁清系宮廷公家の窯であった修学院焼かと思われます。
同巧のものに三島風の細文を彫った精作水指もあります。
なお丹波焼にもこのような結柴形水指がありますが、気品においてはるかにこれより劣ります。
束ね柴の趣向につくり、やや臼形、口造りは広口、中間下方に丹念な二条の縄帯をめぐらし、千本糸目筋の刻文も優美で少しのそつもありません。
できすぎているので上下に押えを施し、一種の破調を求めていることも面白いです。
土は砂目の多い信楽土、これに薄釉がかかっています。
【寸法】 高さ:18.5 口径:15.2
【所蔵】滴翠美術館