Picture of 鶴田 純久の章 お話
鶴田 純久の章 お話

重文
付属物
天目台 存星 砂張覆輪 天目台 青貝
被服 白地小牡丹古金欄 紺地寿字宝入純子
挽家 紅葉金蒔絵 内箱 黒塗銀錠前付
天目台箱 桐白木 書付 同筆
外箱 桐白木 同蓋裏 書付 万扨和尚筆
伝来
大徳寺龍光院什物―天王寺屋五兵衛―鴻池家
所載
千家中興名物 大正名器鑑
寸法
高さ:6.5cm 口径:12.4cm 底径;3.4cm 重さ:294g

 これも見事な伝来の玳玻盞です。形はやや開きぎみの碗なりで、造りは例のごとく、外側は黒地黄斑の玳玻釉になっています。その点からすれば、これも玳玻盞とよぶべきものなのですが、中の文様が特殊なものについては、その文様名を冠して、このように文字天目とよぶのが昔からのしきたりなのです。
 その文字というのは、内壁に浮き上がった三つの花菱輪違いの中に記されています。もちろんこれも切り紙を貼って上の釉をはじき、文様を得たものです。一つずつ文字は変わっていて、「富貴長命」「金玉満堂」「福寿康寧」の四字句になっています。これらは吉祥句といって、縁起のいいようにめでたい言葉をつらねたまでです。こういう複雑な型抜き文は、えてして上の黄釉が流れこんで、乱れがちになるものなのですが、この茶碗では非常に精密・にあらわれていて、出色の作といってさしつかえません。

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