志野辻堂香合 しのつじどうこうごう

志野辻堂香合
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鶴田 純久の章 お話
志野辻堂香合
志野辻堂香合

 志野香合は、一文字以外ではいろいろと自由な形をつくり出している。
 この「辻堂」の場合も、はじめから辻堂を意識したものではなく、一種の宝珠形とみるべきであろうが、茶趣を加味して「くず家」と呼ばれ、これが「辻堂」といい換えられたものである。特に斜面に稜線をともない、頂上を摘みにしている立体感が力強い造形として感じとられる。さらに、この香合の見所は随所に現われた鉄釉の発色で、ことに腰を一巡して強く発色し、また辻堂屋根の頂上とそのあたりにも赤褐色が鮮やかに現われていることは、何よりこの香合を特徴づけており、さながら富士の夕景をみるごとき妙をみせているといえよう。
【寸法】 高さ:4.3 口径:(内) 3.0

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