明代。
名物裂。
紋海気は無地海気とはかなり違った織物で、紋の部分は地合いの部分より織糸をまばらにすることによって紋を現わす方法がとられている。
海気は海貴・改機・海黄とも書く。
元亀・慶長(1570~1615)頃、更紗などとともにオランダ人によって盛んに舶載された裂で、本練絹糸の緯糸が表面に多く現われるので光沢がある。
『古今名物類聚』には四種の紋海気が収録されているが、無地海気はない。
紋海気を仕覆に用いた例もあるが、むしろ仕覆の裏裂として補助的な役割を果たしている場合が多く、一般に表裂に緞子を用いたとき裏裂に紋海気を、金襴のときには無地海気を用いた例が多いが、組み合わせは一概に決めがたい。