大柄な牡丹とやや小形の菊花を散らし、余白の全面を葉文で埋めた紅花緑葉の天目台である。
外輪は輪花形とし、それぞれの先端を玉縁風に彫り出している。
花文や葉文の表現は明代万暦頃の様式を示し、明代初期の重厚生気ある紅花緑葉の天目台を模刻した感じが強い。
古様のものは玉縁より文様の部分が高く盛り上がり、花弁の切込みも深く花蕊が明確であるが、後期のものは玉縁と文様とがほぼ同一の盛り上がりを示し、花弁も形式化が目立ち平面的となる。
外縁の輪花形の切込みが単調に陥ることを救っている。
【寸法】高さ:8.1 径17.6
【所蔵】徳川黎明会