小堀家の家紋は花七宝すなわち花輪違いで、輪違いの間を花菱でとめた意匠であるが、これを透かし文として六面体につなぎ合わせて蓋置としたものである。
遠州好み蓋置の典型的作例であるが、作者は判然としない。
輪違い部分には中央に細い溝があり、文様構成に重厚さを加えている。
また唐銅の落ち着いた味わいが自然で、これは時代の経過によるものである。
書院における棚の飾りとも調和し、遠州の造形的意匠の卓抜した美的感覚を如実に示している。
なお七宝文は宝尽文の一種で、吉祥文として愛好され、明代、宝尽文の成立とともに工芸意匠として珍 重さ:れた。
【寸法】高さ:5.9 径6.2